【simple】 

 ■#515151■#302E4E■#CCCCCC
シンプルにまとめてみました。素材は以前から配布しているものを加工して使用しました。
インラインフレーム使用。縦(?)に2分割しています。
画像は背景用に2枚、ラインが1枚です。
※サンプルではリンク先は全部ABOUTになってます。
!DLはこちら→■simple.lzh

以下長文テストです。

一 時代
それは或本屋の二階だつた。二十歳の彼は書棚にかけた西洋風の梯子に登り、新らしい本を探してゐた。モオパスサン、ボオドレエル、ストリントベリイ、イブセン、シヨウ、トルストイ、……
 そのうちに日の暮は迫り出した。しかし彼は熱心に本の背文字を読みつづけた。そこに並んでゐるのは本といふよりも寧ろ世紀末それ自身だつた。ニイチエ、ヴエルレエン、ゴンクウル兄弟、ダスタエフスキイ、ハウプトマン、フロオベエル、……
 彼は薄暗がりと戦ひながら、彼等の名前を数へて行つた。が、本はおのづからもの憂い影の中に沈みはじめた。彼はとうとう根気も尽き、西洋風の梯子を下りようとした。

すると傘のない電燈が一つ、丁度彼の頭の上に突然ぽかりと火をともした。彼は梯子の上に佇(たたず)んだまま、本の間に動いてゐる店員や客を見下した。 彼等は妙に小さかつた。

のみならず如何にも見すぼらしかつた。 「人生は一行のボオドレエルにも若(し)かない。」  彼は暫く梯子の上からかう云ふ彼等を見渡してゐた。……

『或阿呆の一生』芥川龍之介